カールじいさんの空飛ぶ家

6歳児の強い希望で見に行きました。

朝日新聞の映画評で沢木耕太郎がこの映画をとりあげていたのを読みました。
http://doraku.asahi.com/entertainment/movie/review/091216_2.html

で、うーん、子どもが見ておもしろいんだろうか?と疑問に思っていたのですが、まぁ大人目線で見るとこうなりますが、普通に子ども向けの冒険活劇です。

沢木氏が取り上げている冒頭の10分は、確かにじーんときます。アニメーションも美しくて。
でも、夫婦に子どもができなかった(流産した?)ということを、きっちり強調していて、私などはそこで泣いてしまいましたが、このことをカールじいさんが過去に固執する理由の一つとして描いているのは、ちょっとな〜、と思いました。

風船を屋根に大量に付けて飛び立っていく家の姿は圧巻で、風船の透明感もあって、わぁ〜、という気持ちになります。鑑賞中の子どもたちも大喜びでしょう。
そこに、お年寄りを助けるというボーイスカウト活動の課題を達成しようと、じいさんにつきまとっていた少年、ラッセルが登場。飛び立った家のポーチで震えていた、なんて、とてもナンセンスなんですが、アニメだからOK。

このラッセル君が、アジア系の離婚家庭の子どもとして描かれていて、主人公が老人とマイノリティの子どもというのも、なかなかおもしろいなぁと感じました。カールじいさんが妻・エリーを失っているのと同じく、ラッセルは父親の不在に悩んでいるわけです。そうなると(=2人が互いに欠落を埋める存在になるというハッピーエンドに導くためには)、カール夫妻が子どもを持たなかったということを強調する必要があるのかもしれませんが、有るべき家族像、という感じがしてしまいます。

で、2人は旅の過程で、思いがけぬ(=って大人にはだいたい想像つくのですが)人物に出会い、戦うことになります。この人物は、近代的・開拓的・侵略的な存在であり、だからこそラッセル君はマイノリティとして、カールじいさんはひ弱な少年→無力な老人として描かれているのかも?などと考えました。が、最後のクレジットを見ると、ずらりと並んだスタッフのかなりの人たちがアジア系の名字を持っていることに気づきました。これだけアジア系の人たちが関わっているのだから、重要登場人物が白人ばかりでは、リアリティに欠けますね。

おそらく途中20分ほど記憶がありませんが、子どもも楽しんでたし、自分としても、ま、おもしろかったです。しかし、カールじいさんの成長、子どもには理解できたのかな?ちょっと難しいかも?! 風船で飛ぶ、犬がしゃべる、それだけで十分おもしろいからいいのかな〜?