『ボクたちクラシックつながり―ピアニストが読む音楽マンガ』

青柳いづみこ 文春新書

出勤途中にのだめの最終巻、駅の本屋で買って読んじゃいましたw
なんか眠くて本とか読めないし〜。漫画だと寝ないのはなぜ??

それはおいといて、図書館でたまたま借りた、青柳いづみこさんの新書、のだめや『神童』、『ピアノの森』などの音楽漫画をネタに書かれたエッセイです。

楽譜をちょいちょい変えながら弾くのだめスタイルは、19世紀にはむしろ普通だったこと、とか。(ホロヴィッツは19世紀の生き残り演奏家なんですね・・・ふむふむ)
音大卒業生は「不良債権」というのはホント。演奏で生活できる人は日本に数十人であること、とか。
留学をめぐるあれこれとか。
20世紀のいろんな演奏家の言葉や批評も交えて、書かれていて、とても面白かったです。

ピアノ再開して(月1回だけしかレッスン受けてなくて、このところ忙しい〜をいいわけにサボり気味ですが)、仕事中に音量下げてクラシックを聴くことも多くなりましたが、知識がないもんで、「おお、素敵だわ!」という感想以外もてなかったので、前半部の演奏批評的な部分、そういうふうに聞いてみたらどうなるだろう?と興味を持てました。

クラシック音楽という西洋からの古典文化。日本ではもちろんのこと、ヨーロッパでも、生活していくのも大変だし、批評、暗譜などのプレッシャーも大きい。
演奏家を目指す人は、ものすごい天才か、現実が見えてない馬鹿者か、という言葉に、著者は、でも、そこまで考えることもなく、気がついたら演奏しかない状況にいた人も多いのでは?と言っています。
でも、「私たちはいつも夢の中にいることができる」っていう演奏家の言葉には、ぐっときます。

大学院も、あーなんて私はバカなんだ、ちゃんと仕事につかずに!!と何度も思ったし、当時の指導教官から、「自分は院に進みたいと言ったら、指導教官から”君は長男かい?長男だったらやめなさい」と言われた」、と暗に、(このまま仕事なくても僕は関係ないからね)的引導を渡された私。でも音楽ほど狭き道じゃないものね・・・芸術は厳しい、と思った。

ピアノも、実は小学5年生くらいのときに、当時の先生から、音中を受けない?って言われたことがあるんです。すごく上手ではなかったけど、まじめだったし、先生の言うことも聞くカワイイ生徒だったと思う。ピアノも好きだったし、うまく弾けたらうれしかった。発表会は気持ちが盛り上がって大好きでした。
でも、「音楽を仕事にする、っていうほど、これからも音楽が好きかどうか分からないから、中学入る所で決めたくない」って断ったんですよね。ぶっちゃけ、つぶしがきかない、って子ども心に考えたんだと思う。そして、中学に入ったら部活とかいろいろ忙しくて、めっきり練習しない子になってしまいました。

で、のだめの最終巻よんだら、コンヴァトのちっちゃい子(リュカ?)が、「僕は音楽を専門にしているから、普通の勉強は家庭教師に習っているんだ」とのだめに打ち明ける。
(青柳さんの本によれば、コンヴァトは年齢制限が21歳で、ほんとは22歳ののだめちゃんが留学しているのはおかしいらしいです。だから才能のある子は、歳が小さくても入学するんだそうで。日本からは留学しにくいみたいですね〜日本で音大を卒業すると年齢制限にひっかかってしまう、ということで)

で、のだめは「音楽のことにやりたいことはなかったの?普通の学校に行きたくなかった?」って尋ね、彼は「それでも音楽が一番好き」って答えるシーンがあって。
そうなんだろうなぁ・・・それで”選ぶ人”だけが残っていくのでしょうね。

ピアニストの人のエッセイって、中村紘子のものを、むかーし読んだことがあるくらいだったけど(コンクールの裏幕みたいな本)、青柳いづみこはすごい読みやすくて面白かったです。
専門だというドビュッシーの本もこんど読んでみよう。